COMPANY's Dr. LOG

桜橋ビジネス勉強会

仕事に値段をつける

ある仕事の値段(給料)を合理的につけようとするなら、どういうロジックが必要か。
成果の事後的配分ではなく、仕事の価値をあらかじめ定めて値段をつける。

その仕事が、短期的な収益に与える影響はどの程度か?
その仕事が、長期的な競争力獲得に貢献する可能性はどの程度か?
成果を上げるために要求されるスキルはどの程度か?
成果を上げるうえで、外的市場・内的環境の厳しさはどのようなものか?
などなど。

仕事の重要性や難易度を評価するまでは何とかできるかもしれない。
問題は値段である。
社内の総額人件費を、相対的な「仕事の価値スコア」に基づいて配分するのがいいだろう。
「仕事の価値スコア」は市場環境などで変わるから、時価である。
企業の業績が市場環境で上下するように、個人の給与も日々上下する。
AIなんかを使えば、技術的にはこういうことが可能になる。

次の問題は「仕事の値段」ではなく「自分の値段」。
知識、経験、学歴・公的資格、人脈の広さなどで、「スキルスコア」が算出される。
専門分野の「種目」ごとのスコアになるかもしれない。
会社の「仕事の価値スコア」と個人の「種目別スキルスコア」のマッチングが、人事部門の役割になる。

さて、ひとたびこれら2つのスコアが定量化されると、他社との比較も可能になる。
スコアは会社の事情にも左右されるが、それを調整するロジックを持てば、自分の仕事の値段の世間相場がわかる。
既にある程度転職エージェントがしていることだろうが、それがもっと精緻になるイメージだ。

かくして、世の中に存在する仕事の値段と、個人の値段が完全に透明になり、自分がどの位置にいてどんなキャリアの可能性があるかが明白になる。
会社側は、高い給料を払える1部リーグと、そうではない2部リーグ以下の会社に分かれていくだろう。
随時入れ替え戦が行われ、新興企業による下克上もあるだろう。
働き手は、スポーツ選手のように、自分の力量を斟酌してどこを目指し、どんな契約をするかの判断が求められる。

 

さてさて、こういう世界が、果たして私たちの目指すものだろうか?
子供たちの世代は、こういった緻密なデータの網の目をくぐり抜けたり、引き裂いたりする勇気を持てるだろうか?

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4月20日の桜橋ビジネス勉強会のテーマは人事制度でした。
新制度をリリースした気鋭の人事プランナーのナカイさんに、構想から導入、今後の課題までの経緯と思いをうかがいました。
上記は勉強会のあとに考えた妄想です。

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