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桜橋ビジネス勉強会

デザイン思考とアート思考

第34回桜橋ビジネス勉強会で、スギバヤシさんからアーティステックなスピーチをいただいた。
テーマはラグジュアリーブランドをケースにした、デザイン思考およびアート思考。

「デザインとは(モノに)意味を与えるものである」 by ロベルト・ベルガンティ。
意味は目的に従う。
ゆえに、ビジネスにおけるデザインワークは、売上・利益への貢献という明確な目的を持つ。
買い手の心に入り込む表現を、顧客ターゲット、提供する価値、使える技術、許容コストなどの制約の中で検討する。

従来の経営では、これらの制約(=方針・計画)を合理的に規定することに重きを置いていた。
そこから先のデザインは現場の仕事。
しかし、市場での勝ち負けは実装されたデザイン(機能の取捨選択を含む)で決まることが多くなり、経営の意思決定におけるデザインの比重が高くなってきた。
とうことで、合理的思考による予見の先にある、現場の試行錯誤も考慮した「デザイン思考」という意思決定プロセスが注目されるようになった。
デザインは、限られた専門家の仕事ではなく、組織を挙げての重要事項になった。

ところが、試行錯誤を繰り返せば良いデザイン、インパクトのある経営成果につながるデザインができるわけではない。
合議を重んじれば、角の取れたインパクトのない、ありきたりなデザインになりがち。
また、案件ごとに試行錯誤をすれば、結果としてバラバラなデザインの集まりになってしまう。
ビジネスの競争力を考えるなら、製品だけでなく、ホームページや広告物まで、一貫性のあるデザインワークが望ましい。
ということで、どうやって組織的にデザインの目利きを行うかが課題になる。

そこで、「アート思考」という発想が有用になる。
アート思考は、担い手の主観を大事にする。
さまざまな制約の中で試行錯誤するデザイン思考に加え、「誰かの」主観、ときには説明不可能な主観を基に意思決定することで、ありきたりの施策からの脱却を図り、一貫した世界観を構築する。
主観、直観、非常識といったキーワードがアート思考に紐づけられる。

気を付けたいのは、あくまで合理的思考の土台の上に立つ主観・直観・非常識だということ。
たまに、非常識な直観で会社を混乱させるだけの人がいるが、それは論外。
ちなみに、発想を広げるためにギャルを会議に派遣するビジネスもあるようだが、刺激にはなっても意思決定を委ねることはありえない。
→「ギャル式ブレスト」の記事

合理的思考による制約をわかったうえで、それを突き抜ける非常識な思考。
これは相当難しい。
優れたアーティストはこの領域で勝負をしている(はず)。
凡人は、「果たして自分の非常識な直観は役に立つのか?」と逡巡する。
もちろん、その問いに答えはない。
最後は「勇気」「生きざま」が問われることになるのだろう。
果たして僕は、この領域で勝負できているだろうか?

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