ワイヤレスイヤホンを買ったら快適すぎて、個人的には、ウォークマンやiPodよりも革命的。
常時耳につけておくことができるので、音声コンテンツとの付き合い方が劇的に変わる予感。
で、いろんな音楽を聴きたくなって、遅ればせながらスポティファイに加入し、一気に有料会員に。
昔はレコードにそっと針を落とし、パチパチしたノイズを聞き、いささかの緊張感をもって、時には正座してアーチストや楽曲に耳を澄ませたもの。
昭和世代にとって、音楽は自分で選び、買い、相当の気合で向き合うものだった。
それがサブスクになると、音楽は生活のBGMとして常時耳にするようになる。
「お聞きの曲によく似た曲」なんかが紹介され、「ちょっとアップテンポな感じ」みたいな、アーチストや楽曲を特定しない、あるカテゴリーの中の一曲という付き合い方になる。
サブスクはコンテンツとの向き合いが質的に変わる。
所有して「意識的な関係を持つもの」から、BGMのように「生活の背景として何かあればいいもの」になる。
これは音楽に限らず、Netflixのような映像コンテンツも、カーシェアも同じ。
モノとの濃い関係性を断ち切り、敢えて距離を取って背景に追いやる。
それが新しい消費のモードなのだと思う。
このBGM的消費をアパレルに持ち込み、株式上場までこぎつけたのがファッションサブスクのエアークローゼット。
昨日の桜橋ビジネス勉強会で、徹底的に事業の構造を分析し、その前提になる売り手、買い手の変化について議論した。
洋服は、おしゃれな人と、そうでもない人の意識の差がとても大きい。
仕事に来ていく服は、「それなりの何かいいもの」であればOKという人は当然いる。
スタイリストが服を選び、「これなら恥ずかしくないよ」と背中を押す。
顧客は服選びに要する手間とコストを省き、服をBGMにして自分がしたいこと、すべきことにエネルギーを振り向ける。
世の中は、サブスク、シェアの方向に向かっている。
地球環境にもその方がいいだろう。
その結果、多くのコンテンツがBGMのような背景に追いやられていく。
どんどん追いやられた先に、何が残るか。
BGMを聞きながら、あなたは何をするのか。
あなたが思い入れを持ち、前景に置いて向き合っていくものは何か。
期せずして、そういう選択が迫られているのだと思う。